前回、設計事務所の件について書かせていただきました。
まだそれをお読みになっていない方は、そちら
「一般の感覚からかけ離れた乱暴な主張」
を先にお読みになってから、コチラを読んで下さい。
さて、本文に戻ります。
その判決が波紋を呼んでいるという事なんです。
その理由が、
「今後建築設計者が萎縮することにつながるのではないか?」
という事らしいのです。
「確度の高い予算額を算出するには時間がかかる。
 予算に必要以上に拘束されると、自由にデザイン出来なくなる。
 デザインを重んじる設計では、弊害が大きい」
というコメントも掲載されていました。
○確度の高い予算額を算出するには時間がかかる。
  それにしても、1.7倍の誤差は大きすぎ。
  経験上、誤差が出やすいのはわかるはず。
○予算に必要以上に拘束されると、自由にデザイン出来なくなる。
  お施主様の建物であって、設計者の建物であってはならない。
  
○デザインを重んじる設計では、弊害が大きい
  そのようなデザインに対する対価をしっかりと考えてくれるお施主様を捜すべき。
このコメントを見ると、お施主様に対する気持ちが一つも感じられない。
まるで、設計事務所はデザイナーだから、許されるんだと言うおごった気持ちが感じられます。
もちろん、こんな設計事務所はまれだとは思いますが、
予算が増えたりするのは当たり前、とか、
請け負いになるから、資金の回収が大変だ、
と騒いでいるこの業界は、ずいぶんと違うなと違和感を感じました。
設計契約に関する報酬は今までも問題があったようです。
そのため、平成20年から、設計業務に関する重要事項説明が義務づけられました。
というのも、設計業務に入っても、資金の回収が出来ない事が多かったのも事実なのです。
設計業務は、頭を使う思考的な業務なので、物が残りません。
それにしても、もっと、お施主様の事も考えても良いのではないかと思います。
この内容は、「日経アーキテクチャー10月号」から引用しています。