全館冷暖房
全館空調という選択肢
「全館空調」とは、家全体（全館）を冷暖房（空調）して、家中を快適に保つシステムのことです。
全館空調には以下のようなメリットがあります。
部屋ごとの温度差が少ない
- 廊下やトイレも含め家全体が暖かく涼しくなるので、どこにいても快適
- ヒートショックのリスクを抑えられる
インテリアや外観を損ねない
- 各部屋にエアコンや暖房器具を設置しないので、インテリアコーディネートの邪魔にならない。
- 室外機も最小限のため建物の外観を損ねない
各部屋での空調管理が不要
- 冷暖房の消し忘れや、予約をし忘れてしばらく熱い・寒い、といったストレスから解放される
ただし一方で、一般的な全館空調には下記のようなデメリットもあります。
- 大掛かりで特殊な機械を使うためコストが高くなり、メンテナンスや買換え費用も高くなる。
- 万が一機械が故障したら全部屋冷暖房できなくなってしまう。
- 1台の機械から全部屋へ冷気や暖気を送るために天井裏にダクトを通す必要があり、ダクトスペースの確保やダクト清掃のコストが掛かる。
- 細かな温度設定がしにくい。例えば室内で運動したりお風呂上りなど、一時的に温度を下げたり上げたりしたい時に困る。
従来の全館空調のデメリットを解消した、水野建築の全館空調
水野建築では、エアコンを使用した全館空調の第一人者、松尾設計室の松尾先生の研修会に参加して、エアコン全館空調のノウハウを身につけました。
市販のエアコンを使用して全館空調を行うという方法で、特殊な機械はほとんど使いません。暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ移動する自然の原理を利用するので、ダクトもほとんど必要ありません。
暖房用に床下エアコン、冷房用に天井付近の壁付けエアコンを設置し、それぞれの季節で1台ずつを稼働させます。とはいえ2台設置されているので、万が一故障したときや一時的に冷暖房を強くしたいときにはサブ的に2台目を稼働させることができます。
暖房用床下エアコン
暖房用に、床下エアコンを設置します。暖気を床下の基礎内部に入れて、各部屋に吹き出し口をつくります。
足元が一番暖かくなりますが、床や壁など内装材そのものも暖まるので、「ヒンヤリ」感がなく、直接風を受けることもないので、ボーッとするような感覚がありません。
家中の床下空間が暖かいため、玄関やトイレ、浴室の隅々まで暖かなのが嬉しいです。
冷房用壁付けエアコン
壁の高い位置に冷房用エアコンを設置します。場合によっては天井裏に設置することもあります。
冷気は上から下へ流れるので、自然に家の中全体が涼しくなります。一度涼しくなるとエアコンの自動運転は「弱」で稼働を続けるため、エアコンの冷気を肌に感じることもありません。
従来の全館空調のデメリットを解消できる水野建築の全館空調
大掛かりな設備を必要としない
- 市販の家庭用エアコンを使用するので、イニシャルコストを抑えられる
- メンテナンスや買換えも最小限のコストでできる
ダクトを必要としない
- 天井裏などダクトのためのスペースを確保しなくても良い
- ダクトの清掃やメンテナンス費用が掛からない
あえて2台設置する
- 万が一故障した際やどうしても熱いor寒い場合には補助的に稼働させることができる
ここでチェック
エアコン全館空調で家じゅうを経済的に快適に保つためには、さまざまなノウハウが必要です。
まずダクトを使わずに家全体に冷気・暖気を循環させる方法です。自然原理で空気が流れるとはいえ、普通の住宅では温度差ができてしまいます。吹き抜けや扉のアンダーカット、場合によっては小さなファンを併用しながら、綿密に空気循環を計算して設計する必要があります。
次に、住宅の断熱性・気密性もエアコン全館空調には欠かせない要素です。冷気や暖気を屋外に漏らさない高性能住宅だからこそ、市販の家庭用エアコンで家全体の冷暖房が可能になります。
さらに、エアコン全館空調を支える大事な要素に「パッシブ設計」という考え方があります。これは太陽の熱を冬は効率的に取り込み、夏は適切に遮断する設計手法です。
条件が揃ってはじめて実現できるエアコン冷暖房
エアコン冷暖房を省エネで実現するには、基礎まで含めた住宅の断熱性能、夏にも冬にも対応できるパッシブ設計、さらに空気循環を掲載できる設計ノウハウが必要です。どれかが欠けると、「暖かくor涼しくならない」「部屋ごとに温度差が大きい」「電気代が高くなる」といったトラブルが発生します。
水野建築では、松尾先生の研修をはじめ全国の工務店仲間とお互いの現場を行き来しながら勉強をしています。
ここでご紹介したノウハウ以外にも、エアコンの選定の仕方、基礎断熱の防蟻対策などなど、エアコン全館空調には専門的な細かいコツが山のようにあり、そのノウハウの蓄積が本当にほんとうに重要です。
エアコン全館空調は、実際に使用している時に体感してもらうのが一番わかり易いかと思います。水野建築では定期的に見学会を開催していますので、ぜひ足を運んでみてください。