杭の偽装問題、まだまだ広がりそうですね。
いろいろな問題が出てきていますが、
私が最初の報道から疑問に思っていた事の見解が出てきました。
その疑問とは、
「横浜のマンションは、何を基にして傾いたと言っているのか?」
という事です。
偽装については問題外なのでここでは取り上げません。
悪質なことなので、その事をフォローするつもりもありません。
あくまでも、傾いたかどうか、どいう事にだけフォーカスして話しますので、
誤解のないようにお願いします。
建築関係の仕事をしているプロの方ならば、同じ疑問を持ったはず。
その説明が、
「日経アーキテクチャー 2015:11−25 杭騒動・語られない真相」
に書いてありました。
まず、冒頭の文章がこれです。
「建物が傾斜したとか、沈下したと説明した事は一度もない。」
発言者は、横浜市建築指導部建築安全課。
『「傾斜マンション」などと報道され、苦り切った様子だ』
とまで書いています。
そして、
『報道を前に、「本当に傾斜しているのか」と疑問を呈する杭や地盤の専門家は多い。
「杭未達や建物の傾斜を判断するには、あまりに材料が少なすぎる」
と声をそろえる。』
と書いています。
そもそも、建物は杭を打ったからといって、全く動かない(沈下や傾斜しない)物ではないのです。
杭を打っても、地盤自体がは完全に固定されているものではありませんから動いてしまうのです。
ましてや、長手54mという大きくて、複雑な形をした建物です。
多少のズレは有っても仕方が無いのです。
そのようなズレに対応するため、
廊下などではつながっているように見えますが、
ズレても建物が壊れないように作ってあるのです。
また、建物の傾斜は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」上でも規定があります。
一つの基準が「1000分の3以上」です。
今回のズレを2.4cmで考えると、傾斜は
「1000分の0.4」となるそうです。
このように考えると、このズレの問題はそれほど深刻とはならないのです。
この記事には、問題が露呈してきたとも書いています。
『この杭の工法は「大臣認定工法」だったために管理が不十分ではなかったのか、』
『そもそも、この杭の工法の選択が間違っていたのではないか、」
と言う事までもです。
報道の仕方についても言及しています。
私も実際にテレビなどの報道を見ていると、
まるでもう直ぐマンションが壊れてしまうのではないか、
という雰囲気を感じることがありました。
この記事には、このようにも書かれています。
『過熱する報道に対して、冷静な判断を求める声が複数の専門家から上がっている。
「偽装=傾斜」では無いというのだ』
今回の問題に対して擁護するつもりは全くありません。
あなたには、きちんと専門家も読むような記事の内容を知ってほしいと思ったのです。
参考文献:日経アーキテクチャー 2015:11−25 杭騒動・語られない真相