この人からは、この人の製品を使用する以上に私は影響を受けました。
ジョブスは、デザイン等に注目されがちですが、私が一番影響を受けたのは物づくりについてです。
私が、ジョブスの作品を使い始めたのは大学生の時でした。
20年以上前です。
まだまだコンピュータは高価。
そんな中、「MacintoshPlus」を購入したのです。
正直、いったいどんな物か良くわかっていませんでした。
その上、クローズドな設計で、販売されているソフトを少し動かすのが精一杯だったと思います。
ハイパーカードと言うソフトが有り、それで映画のデータベースを作ったりしていました。
でも、Macintoshの一番の驚きは、その躯体に有りました。
多くの物づくりをしている人は、特にコンピューター等を作っている人は、性能と外観を作る事に力を入れるでしょう。
ジョブスは違いました。
私もそれを目にしたのは一度だけ。
メモリーを増やそうとした時です。
専用の道具を使ってMacintoshのカバーを開けると、そのカバーの後ろ側にはMacintoshを作った人たちのサインが有ったのです。
それも、カバーの中いっぱいに書かれていたように思います。
噂には聞いていましたが、あらためて見て物づくりに対する気持ちと言うか、誇りを感じました。
ジョブスが「AppleII」を開発した時の有名な話が有ります。
基板が出来上がった時に、ジョブスが設計士に作り直しを指示したそうです。
理由は、基板のデザインがかっこ悪いから。
設計士は、そんなの誰も見ないと反対します。
でも、ジョブスは違いました。
こう答えたのです。
「誰も見なくても、私が見る!」
そうなんですよね。
物づくりって。
誰も見ていない所にもしっかりと力を入れてキレイに仕上げる。
実は、この言葉は見学の際に私が言う言葉の大元です。
私は、見学会でこのように説明します。
「お家は、出来たらきれいで当たり前です。
出来る前もしっかりとキレイに作っているのか、あなたの目で確かめてください。」
ジョブスは、デザインや飛び抜けたアイデアだけではなく、しっかりとそれを作る、その才能とこだわりもずば抜けていたのだと思います。
ジョブスの時代を一緒に生きれた事は、とても刺激的で、本当にうれしく思います。