2019年2月26日、名古屋市東スポーツセンターでその事故は起きました。
床から剥がれた木片が、足から尻にかけて突き刺さる
床材であるフローリング材、床から剥がれ長さ15cm、幅3cm、暑さ2cmの木片が、床に座り込んだ女性の足から尻にかけて突き刺さり大怪我を負わせました。
聞いただけで、痛い。
このような事故、4日前にも埼玉県三芳市の体育館でも起こっていました。
この時は、長さ30cmの木片が男性の尻に刺さったそうです。
なぜこのような事故が起きるのか「日経アーキテクチャ2019-5-23」号に掲載されていたので紹介します。
原因は「水拭き」
体育館の床は、無垢材や合板の上に板を貼ったものがあります。
住宅と違うのは、床材を貼った後に表面を研磨して、仕上げに塗装をしている施工方法。
住宅でも無垢材を用いる床の場合には塗装をすることはありますが、それほど多くはありません。
このような床材の場合、最大の問題が「水」。
木材は、水分を含むと膨張し、乾燥すると収縮します。
この膨張と収縮を繰り返し、ささくれたり、繊維に沿って剥がれることがあります。
体育館では水拭きをしたり、雨漏れを放置したり、ドアの近くの濡れをそのままにしたりすることも多いでしょう。
これらのことが原因になっているようです。
ワックスがけも注意が必要です。
ワックスの多くは水性のため、水を撒いているようなものもあるそうなのです。
ワックスの剥離にも水を使わなければいけないこともあります。
たまにワックスをかけると、劇的に床がキレイになることを感じます。
それでも、やり過ぎには注意してくださいね。
乾燥し過ぎにも注意
24時間換気の取り付けを法律で定められた昨今。
建物の中は乾燥しやすくなってきました。
乾燥しすぎると、床材のつなぎ目の隙間が出来やすく、ささくれなどが出来て危険性が高くなります。
住宅でも、無垢を使った床材は注意
今回紹介したのは、体育館の床についてです。
住宅の場合には、建築材料を作っているようなメーカー製の床材であれば大きな心配はありません。
ただし、最近多い無垢材を利用した床材の場合には、同じような注意が必要です。
気になるところがありましたら、すぐに補修するようにしましょう。
体育館の床は、通常以上の注意が必要!
体育館の床下はどのようになっているかご存知ですか?
意外と、住宅とその構造は基本的に似ています。
耐荷重は500kg/m2
ただし、耐荷重は住宅の約2.5倍の約500kg/m2。
500kgに耐えられるのであれば頑丈と考えるかもしれませんが、体育館では人が特殊な動きをします。
飛んだり、跳ねたり、体重が100kg以上もあるようなお相撲さんが相撲を取ったり。
そのため、床の下で支えている材料が曲がってしまうこともあるそうです。
でも、そこまで点検している体育館はそれほどないのではないでしょうか。
床の表面は、10年で削りなおし、20年目で貼りなおし
体育館の床材はとても痛みやすい部位です。
メンテナンスとして、
- 10年目:表面の削りなおして全面的に再塗装
- 20年目:床材の張り替え
が理想だそうです。
ところが、公立学校の61%が長期的な改修計画の作成や、計画に基づく回収をしていないそうです。
自分の子供たちが、このような場所で激しいスポーツをしていると思うと怖いですね。
床には、テープを貼るのも注意
体育館では、色々なイベントも開催されます。
その時に活躍するのが「テープ」
色々な物を床に固定しています。
そのテープを剥がす時に、床の塗料が一緒に剥がれてしまい、ささくれ立つ原因にもなりかねないそうです。
お子様のいらっしゃるご家族は、学校の体育館にも行くことがあるかと思います。
何か気になることがありましたら、その施設の管理者の方にも報告をしましょう。
参考文献
「日経アーキテクチャ2019-5-23」号