敷地の前の道路が4m以下しかない場合、
4m以上の幅を取りなさいと法律で決まっています。
例えば、道路幅が3.6mしかないと、
道路の中心から両側に2mづつ幅をとらないといけないのです。
0.4m足りないですから、片側0.2mを道路として使用しなければいけません。
さて、ここで問題です。
この0.2mの部分の土地は、地主が所有権を持っていますが、道路になっています。
その時の権利関係はどうなるのでしょうか?
この問題は、ずっと言われてきたのですが、曖昧なままでした。
このことが、杉並区で審議され、全国初の条例になりそうです。
この事が「日経アーキテクチャー2015.12-10」に掲載されていたので、報告します。
先ほどの例で挙げた0.2mの後退用地、
ここに、交通を妨げる物の設置を禁止することは「公共の福祉」とみなす事ができ、
代執行の実施も可能としたいようです。
要するに、道路を勝手に使っていた場合、
行政が強制的に排除できるということですね。
(乱暴な言い方ですいません)
ここで問題になるのが財産権です。
憲法29条【財産権】
①財産権は、これを侵してはならない。
②財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
(「やうに」は、条文通りです。)
③私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
(「用ひる」は、条文通りです。)
この3項で示されている「補償」は必要無いと考えています。
というのも、この道路幅の4mには重要な意味があるためです。
それは、何か災害や火事があった時に迅速に救助活動や消火活動に入るため、
消防車などが通れる幅となっています。
多くの人の生命や財産を保護するために必要なことなので、
「補償」はいらないだろう、ということなのですね。
杉並区では、30%が狭い道路なのだそうです。
栃木県内でも、街中に行くと多いですね。
車が1台ギリギリの道路。
ちなみに、道路幅4mにするために道路になってしまう部分ですが、
基本的に所有権は、もともとの土地の所有者にあります。
公共で使うので、固定資産税などはかかりません。
行政に移管することもできるのですが、境界協定を自分でしなくてはならず、
多額の費用(数十万円)がかかるためやる方はいません。
今回は、少し難しかったですね。
でも、とても大切なことなので、お伝えしました。
私道の事など、いろいろと気をつけた方が良い事も沢山あります。
心配な時には、相談してくださいね。